おしゃべりしようよ!

今日は昨日より、強くやさしく、自由に。

SWITCHインタビュー 達人達(たち)「福島智×柳澤桂子」感想


おはようございます、がんちゃんです。
今日も東京は暑くなりそう!

さて突然ですが、NHKの番組「SWITCHインタビュー達人達」ってご存知ですか。

私、この番組がとても好きなんです。

リアルタイムではなかなか見られないのでいつも録画を見ています。

先日放送された、福島智さんと柳澤桂子さんの対談がとても考えさせられる内容だったので備忘録的に感想を書いておきます。

もうとっくに再放送も終わってしまっているのですが……スミマセン。

素晴らしい内容だったのできっとまた放送されるはず!

 

www4.nhk.or.jp

 

人間はここまでたくましく、自由になれる。


福島智さんは、バリアフリーの研究をしている東大の教授。

9歳で視力を失い、18歳で聴力を失った全盲ろう者です。

以来、母親の令子さんが考案した「指点字」という方法で周囲とコミュニケーション
をとりながら猛勉強の末、盲ろう者としては初めての大学進学を果たしました。

現在は東大の先端研で教授職に就かれています。

一方の柳澤桂子さんは、遺伝子学や初期発生の研究をして来られた生命科学者。

彼女もまた、31歳の時に原因不明の難病に倒れ、以来およそ50年をほとんどベッドの上で過ごしながら、思索と執筆を続けてこられました。

お二人の対談を通して私が一番感じたのは、人間はこんなにもたくましく生き、限界を超えここまで自由になっていけるのかという驚きでした。

そしてお二人ともユーモアがあって、温かみのあるお人柄がとても魅力的でした。

 

孤独とコミュニケーション

 

私は指点字(※)を初めて映像で見たのですが、見ていてなぜか涙があふれてきたんで
すね。

それはコミュニケーションを、人とつながることを求める切実さがすごく胸に迫って
きたからだと思います。

福島さんにとって指点字こそが光であり、救いなんだということが、映像からダイレクトに伝わってきました。

指点字点字の6つの点を、両手の人差し指、中指、薬指に置き換え、通訳者が指を打つことで言葉を伝える方法。

また柳澤さんも、病のためにライフワークであった研究を中断せざるを得ず、世界から切り離されたような孤独を感じたと言います。

 

番組では後半が柳沢さんがインタビューに答える構成なのですが、ここで柳澤さんの言葉を引用します。

柳澤さんは最も病状の重かった時には、体の痛みや苦しみのあまり自ら点滴の管を外すことまでも考えられたそうです。

 

福島:時には命を絶つことまでも考えられて、死ぬことを見つめながら科学者の立場で思索をして執筆をするというのは、これはいわば「いのちの当事者研究」かなあと。

柳澤:本当に苦しかったからエッセイを書けたんだと思います。私はそんなに文章を書くのが好きではなかったし得意ではなかったので、まさか書けるとは思ってなかったんですけれど、前に書いたものを読んでみるとなかなかよく書けているので、やっぱりこれは病気のせいだったんだなと思ってます。

福島:自分の身を削るような感じで書いていかれたものが人の心を打つ、そういう本になっていかれたんだと思いますね。

柳澤:好きでやってきたんですよね。好きだからやってきたんで我慢してやったんじゃないんです。

福島:いやー。すごいエネルギーがおありなんやなぁ。それは、そう思いますねえ。

NHK《SWITCHインタビュー 達人達(たち)「福島智×柳澤桂子」》4/22(土)

SWITCHインタビュー 達人達(たち) - NHK


福島さんが驚かれているように、病気になったからこそ生命の不思議を思い、

病床にあったとしてもその真理を見極めたい、表現したいという柳澤さんのエネルギーにはただただ圧倒されてしまいました。

一方の福島さんも自らの障害を考えていくうちに、そもそも人間とはなんなのか、

生命とはなんなのかということを考え、研究活動を続けておられます。

お二人とも、常人には計り知れないほどの逆境を糧にして問いを立て続け、それを世に発信し続けてこられた。

そういう風にして、世界との交流、コミュニケーションを取り戻してこられたんですね。


福島さんや柳澤さんが感じた孤独や絶望と比べるわけではもちろんありませんし、

こんなこと書くのは恥ずかしいくらいなのですが、私は育児が始まってからそれまでに感じたことのない孤独感や焦りを感じました。

そして同時に、誰かとコミュニケーションできることの有り難さや癒しも身に染みて感じるようになりました。

会社に毎日行くこと。友達がすぐそばにいること。とりとめのない会話をすること。

そういうことが当たり前だった昔の自分では、同じ映像を見ても深く感じることは多分できなかったろうなと思います。

そして周囲を見てみれば、育児中の女性だけではなく、高齢の方やあるいは中高生のような若者でも、孤独を感じている人はたくさんいるように思えます。

障害や病気のあるなしに関わらず、人にはそれぞれの立場での苦しみや孤独があるはずです。

そして、コミュニケーションはどの人にも等しく必要なもので、切実に求められるものに違いないと考えさせられました。

何よりも、生命の大切さを。


番組内では、昨年相模原で起こった障害者殺人事件も話題にのぼりました。

福島さんは、この事件の背景にある問題は障害者だけを取り巻くものではなく、全ての人に地続きなものだと指摘しています。

少し長いですが引用します。

柳澤:障害者もみんな幸せ、特に子供の時は幸せであるように過ごしてほしいですね。
そしてそれを阻害しているものは何だと思いますか。

福島:彼(相模原の事件の犯人:筆者注)の中では、障害者は生きていてもお金の無駄になるだけで世の中のためにならないっていう価値観が染み込んでいる。
(中略)彼だけが非常に特殊なのかっていうとそうでもない。
もっと考えていくと障害がない人とも地続きになっているんです。連続しているんです。
つまり、経済的な価値をどれぐらい生み出すかで価値づけられていく、そういう意識が広まっていて、要するにどれぐらい仕事ができるのか、どれぐらい稼げるのか。
で、あんまり仕事ができなかったら、そいつは首にしちゃおうってことになる。
だから、障害がない人たちもとにかく経済的価値を生み出さないと、
いつ自分が奈落の底に落ちてしまうかわからない危機感を抱いている。
そういうことの裏返しが、例えば今回の相模原の事件に対して賛同するような発想につながるのじゃないか。
じゃあ、どうすればいいのか。
どんな人間にも命の価値があり、みんな同じ命の重さがあって生きる意味があるんだっていうことがやはり根底に無いといけない。
だから、この、命を大事にするっていうことを子供たちの時期から家や学校で教えていく。
そして大人に対しても、とにかく生きるということがどれだけ大切なことか。
私は盲ろう者になっても自殺しようとは思わなかったんですが、
それはひとつには、小さい時に同い年の子が4つの男の子が事故で亡くなったという経験があったんですよね。
彼は多分もっと生きたかっただろうと。
だけど、電車にはねられて死んでしまった。
たった4つで死んでしまった。
それはすごく無念だったろうと思うんですね。
生きたかったのに生きられなかった人、そういう人たちが世の中にたくさんいる。
そうであればたとえ目が見えなかったり耳が聞こえなかったり、
いろいろ不便なところはあるけれど私はとりあえず命が与えられているんだから、
与えられているのであれば、この命を自分で捨てるっていうのは
生きたくても生きられなかった人への冒涜だと思ったんですよね。
そう考えれば、どんな命を持っていてもその人が生きることはものすごく大きな意味があって、
社会全体が最高度の努力と力を注いで、みんなが生きるっていうことを守る、それが一番大事だと思います。

NHK《SWITCHインタビュー 達人達(たち)「福島智×柳澤桂子」》4/22(土)

SWITCHインタビュー 達人達(たち) - NHK

 

私は一時期、働きながら育児をしている人と自分を比較して心をざわつかせたり、

働いていない(=お金を稼いでいない)自分をダメなように感じたりしたことがあります。

これももしかしたら「お金を稼ぐ=えらい」という経済的な基準でしか自分を見ることができなくなり、

経済やお金以外の豊かさを忘れがちだったのかもしれない、そんな風に思いました。

もちろん自分ではそんなつもりはありませんが、

だからこそ知らず知らずのうちにそうなっていたとしたらとても恐ろしいことです。

もちろん、働いているお母さんが経済至上主義者だなんてことを言いたいのではありませんよ!

みんないろいろなことを考えて、それぞれ選択をしているはずです。

私があまりにも短絡的な考え方しかできなくなっていたなと反省しました。

 

誰もが生まれてきて良かったといえる社会に。

柳澤:(障害を持って生まれたとしても:筆者注)本当に幸せに生きられるんです。
お母さんやお父さんは大変でしょうけれど、その中から幸せをつかんでいらっしゃるんです。
だからその人たちを、もし生まれても生まれて良かったと思えるようにしたいんです。
生まれてきて良かった。幸せだった。ただそれだけで良いんです。

福島:はい。そうですよね。

柳澤:先生にお願いしておきます。先生、力を持っていらっしゃるから。だから、そういうことも頭の片隅に入れておいてください。

福島:いえ、それは頭の隅ではなく心の真ん中に置くべき問題です。

NHK《SWITCHインタビュー 達人達(たち)「福島智×柳澤桂子」》4/22(土)

SWITCHインタビュー 達人達(たち) - NHK


最後の「心の真ん中に置くべき問題」という言葉がずしりと胸に響きました。

普段小さい子供を育児していても、また自分自身が今妊娠していても、

生命が生まれてくることや育っていくことが、どこか当たり前に感じていなかっただ
ろうかと考え込んでしまいました。

また、自分の人生の中でもいろいろな生命、あるいは死とのめぐりあいがあったことを思い出しました。

病気で幼くして亡くなってしまった従兄弟、身体障害を持った親戚、

二人の子供を残して亡くなった友達のお母さん、

バイク事故で亡くなった中学の同級生、

まだ若かったのに亡くなった中学の担任の先生、

自殺してしまった友達……。

大きくて重いテーマですし、簡単な言葉では片付けられないのですが、

いま生きていることを大切にしなければ、と思いました。

そして、まだまだ新米ですが私が母として思うことは、

「生まれてきてお互い本当に良かったよね。」

「世界には良いことがいっぱいあるよ。」

ということを子供にいっぱい伝えてあげたい。

そして、次の世代のためにも少しでも良い社会、誰もが「生まれて良かったと思える」社会を残してあげたい。

そんなことを考えました。

 

この記事で引用した以外の部分でも、考えさせられるところがいっぱいあった放送でした。

再々放送されることを祈ります!